補足説明

古典的な「国家有機体説」や「社会契約論」とは別に、「科学的社会主義」に基づく「国家論」的思想がある。

私は、最新の生物学・生命科学・量子力学・社会情報学・政治学など最新の知見に基づく、「新しい国家論」が打ち立てられなければならない、と考えている。


2016年6月27日月曜日

科学的社会主義について(「独学ノート」から引用)


 歴史・社会構造の科学的分析に基づいて、社会主義社会への移行は歴史的必然であると主張する、マルクス・エンゲルスの社会主義思想。

→空想的社会主義

    エンゲルスは《反デューリング論》*1において,マルクスと彼自身が創始した科学的社会主義に対比して,それ以前の社会主義を空想的社会主義と規定した。

・その代表者として19世紀初頭のサン・シモン,フーリエ,オーエンがあげられ,以来この言葉は狭義にはこの3人を指して用いられる。とはいえ、マルクス主義の特質を明らかにするために彼らを対置しているのであって,エンゲルスが全面的に否定している訳ではない。7

    彼らは〈理性の王国〉をめざしたフランス革命が幻滅に終わったことをマルクスに先立って確言し,政治体制ではなく〈産業〉の中にこそ人間の協同関係が実現されるべきことを主張し,そのための社会組織を考案した。その批判性,思想性,人類の協同性に対する信頼はマルクスに大きな影響を与えている。

    彼らの思想の空想性は具体的にはつぎの2点に見いだされている。

i.              社会主義が現実の経済的諸関係に基礎をもつ,プロレタリアの自己解放運動の理論的表現であることを理解していない点である。このため彼らは社会主義を実現する担い手を見いだすことができず,18世紀の啓蒙思想家と同様に社会主義を永遠の正義や真理の表現,理性の要請と考え,天才が偶然に発見するほかはないものとみた。プロレタリアも社会主義の担い手ではなく,救済されるべき対象とみなされている。

ii.            彼らが資本主義の生み出す貧困と階級対立を非難し批判はするが,その必然性を理解し説明することができないことである。なぜ一方には巨大な資本蓄積が,他方にはプロレタリアの貧困と悲惨が再生産されるのか,その経済的メカニズムを合理的に解明することができず,したがって,なぜプロレタリアの自己解放運動として社会主義が発生するのかも理解することができない。エンゲルスは,この経済的メカニズムの秘密は〈剰余価値〉にあり,唯物史観の発見とならんでその発見こそ社会主義を〈一個の科学〉にした,と述べている。