補足説明

古典的な「国家有機体説」や「社会契約論」とは別に、「科学的社会主義」に基づく「国家論」的思想がある。

私は、最新の生物学・生命科学・量子力学・社会情報学・政治学など最新の知見に基づく、「新しい国家論」が打ち立てられなければならない、と考えている。


2016年7月2日土曜日

『日経サイエンス』から引用


以下に括弧(“”)で括って、webから『日経サイエンス』の記事を引用する。この引用は、私の「新しい国家論」について思索するための資とするものである。今後、この記事のラベルと同じものは、全てその引用である。

“『量子重力が予言するビッグバウンス宇宙』M. ボジョワルド(ペンシルベニア州立大学)”

“アインシュタインの一般相対性理論によると,私たちの宇宙は密度が無限大の1点「ビッグバン特異点」から始まったとされる。だが,無限大が登場した時点で一般相対性理論そのものが破綻することを意味する。宇宙が非常に小さかったビッグバンの瞬間に何が起こったのかを説明するには,量子論の助けが必要だろう。

 量子論と相対性理論の融合は多くの研究者によって試みられている。その1つが「ループ量子重力理論」だ。この理論では,物質が原子からできているように,時空は“時空の原子”からできているという。この理論の驚くべき帰結の1つは,宇宙初期のような超高密度な状況では,重力が引力ではなく斥力に変わってしまうことだ。空間の原子に蓄えられるエネルギーに上限があるため,上限を超えてエネルギーが詰め込まれようとすると空間の原子は反発し,斥力が生まれるからだ。この反発的重力のために,ビッグバン特異点のように1点に集中し密度が無限大になるといったことがなくなる。

  時の始まりと考えられていたビッグバン特異点が存在しないなら,ビッグバンよりも過去の宇宙が存在したということになりそうだ。ループ量子重力理論が描き出す私たちの宇宙の誕生物語は,次のようなものだ。ビッグバンの前,宇宙がある1点に向かって収縮し始める。宇宙の密度はどんどん高くなりやがて重力は斥力に変わる。その結果,宇宙は収縮をやめ,再び膨張し始める。つまり,ビッグクランチが起こった後に,ビッグバウンス(大反跳)を経てビッグバンが起こったのだ。

  こうしたはるか昔の出来事を実証するには,どうしたらよいだろうか? 重力波やニュートリノが手がかりを与えてくれるのではないかと著者は言う。これらは物質とほとんど相互作用しないため,ビッグバン期やさらに前の時期に関する情報を保持している可能性があるからだ。原子の存在がブラウン運動の観測で証明されたように,“時空のブラウン運動”が観測されて,時空の原子の存在,ひいてはループ量子重力理論の正しさを証明される日は近いのだろうか。”

 “再録:別冊日経サイエンス196「宇宙の誕生と終焉 最新理論でたどる宇宙の一生」

著者Martin Bojowald、ループ量子重力理論がもたらす宇宙論に携わる先駆的研究者。ペンシルベニア州立大学重力宇宙論研究所に所属。2003年に重力研究財団の論文コンクールで1位を獲得,2007年に一般相対論・重力国際学会のサナソプロス賞を受賞している。趣味は古典の読書とペンシルベニア州中部にあるアパラチア山脈でのマラソン。”

“原題名Follow the Bouncing UniverseSCIENTIFIC AMERICAN October 2008)”